華道専慶流WEBいけばな講座 第10回
万年青の生花(中級の上向き)
西阪慶眞指導


 万年青は艶やかな常緑の葉と可愛い赤い実を愛でます。新しい葉は「株の真ん中から向かい合わせに出て、外側の古葉が落ちる」の繰り返しで更新、生育する。そのつきることのない緑の姿から、家庭の永遠の繁栄に結びつけ、正月の縁起もの花材として古くから喜ばれているのです。
 今回の実習は流で定められた伝統生花で、格調高い構成美が見どころです。器の色は朱系統を選ぶと迎春気分も盛り上がります。
 わずか9枚と一本の実を添えるだけの一見単純な形ですが、葉の表情を存分に発揮させた美しさの表出には、葉の見きわめと寸法取り、全体のバランスは難しいものです。一枚一枚の葉の形を十分見渡し、それぞれの特徴を引き出した配分で綺麗な「かたち」を見いだしてください。
5ページ参照
 かなり詳しく解説したつもりです。是非素材を手にとって理解を深めて下さい。

花言葉は「長命。相続」

撓め(曲げる)は一切効きません。
自然の葉の反りと幅の大小をうまく組み合わせます。
水揚げ、日持ち、ともによろしい。水切りをします。
7枚いけ、9枚いけ、14枚の株分けいけ
4ページ参照)があります。
浅い水盤(小振り)がよろしい。
 
   ●作例素材 斑入り万年青9枚、実1本
   ●水揚げ 水切り
   ●花材費予算 1,100〜3,000円 (品質良否が著しく、値段も幅がある。中以上を求めたい)

●良品の見きわめ

店頭では図のような10枚セットにした束で売られている。一枚一枚を確認したり選別することが出来ないので、全体を見渡して、以下の点をポイントに購入するとよい。

・背丈(一番長い葉の寸法)60センチ〜70センチ
・細長いものではなく、葉幅の広いもの。
・葉先の形状 とんがったものではなく、なるべく幅広く、丸みをおびたもの。
・葉縁が波打ったもの(昆布のように葉の外側がクネクネしたもの)
・赤い実は40〜50個付で艶のあるもの。(良心的な店では良品の実を別に仕入れて付けてくれている)