華道専慶流WEBいけばな講座 第24回
(05.8.17訂正版)
花ナスをいける(8月〜9月実習
西阪慶眞指導


 花ナスは観賞用ナスで「唐なす」とも呼ばれています。葉は食用ナスと同様、大きく、実は熟すと橙色から真紅に変わる。艶やかな実の表情は一見、ミニトマトに似て可愛いものです。葉は取って実だけにして出荷されています。
 いけばなでは艶やかな実の表情と、幹をいけることになりますが、概して茎は直線的で、面白みに欠けるものです。そこで、茎を少し曲げて変化をつけたり、横枝の使い方を考えたり、配材の組み合わせでこの難点を補足したいものです。(枝を撓めた作例)

 今回は木イチゴの鮮やかな緑と花ナスを融合させて初秋をイメージした作例です。緑をベースに花ナスの実を効果的に引き立てる事がポイントとなります


花ナスの栽培はいたって簡単。4月末頃に種蒔き。少し大きくなれば添え木して風などで倒れるのを予防しておきます。

作品拡大図参照

「艶やかな実と緑のコントラスト」

花 材/花ナス(2〜3本)、木イチゴ(2本)、オーニソガラム(2本)、ストレリチア(2本)
使用期/8月〜9月
水揚げ/水切で十分。足元が腐りやすいので切り戻せば長持ちします
花 型現代花
花材費予算 1,200〜1,400円(8〜9月)

 扱いのポイント
 色つきのよい大きな実は枝下に付いているので、これらが犠牲にならない枝取り、配分が必要。一般には下部はなるべく切らないで、枝先を切って調和をはかります。切り落とした不要な実を上部に「付け実」する事も多々あります。

 剣山への固定
 素材は比較的柔らかく、剣山に挿しても実の重みに耐えかねて倒れることがあります。根は割らずにしっかり挿すこと。なるべく太い茎の部分を使う事。どうしても倒れる時は添え木して安定をはかります。深い傾斜では剣山と一緒に倒れますので、右図のように張り木しておきます。このように素材を固定することが若干面倒ですが、こうした意味から深い花器を選択し、投入手法でいけるのも名案です。

WEB表紙 2ページ 3ページ

専慶流いけばな