華道専慶流WEBいけばな講座 第19回
(05.1.27修正版)
トクサをいける(冬季実習)
西阪慶眞指導

日本庭園で良く見かける「トクサ」の名は、そのざらついた繊維が金属や木材、時には歯磨きにも利用されていて、「研く草」(とくくさ)から「トクサ」になったと云われています。半日陰のやや湿度の高い地を好み、真直ぐに育ちます。

いけばなでは周年素材に扱われ、とくに、花材が不足する冬期によく使います。
葉はありません。茎は空洞で、竹に似た節があり、ざらついた質感とその緑の色を素材として取り入れます。

撓めはほとんどききません。直線素材ですが、しかし、よく見るとわずかに曲がっているものです。このわずかな曲がりをうまく利用して生花の「くの字」の形にいかします。枝先にツクシのような頭がありますが「胞子穂」です。これがある場合はなるべく天、天添など主要な箇所に配分し、表情を引き出します。また、ときとして細い横枝が付いた素材が花材として出回りますが、原則として「切り捨て」ます。しかし、高度な扱いではこれを補足と捉え、直枝に組み入れ、味を持たせるのです。

今回は洋花の明るい色彩をトクサ、セロームのグリーンの基調色に解け合わせ、華やぎの中にも格調高い味わいを見せる事がポイントです。作例は素材の都合で「逆勝手」にいけています。

作品拡大図参照

「品位ある色彩と形」

  花 型 色彩生花(逆勝手)
  
花 材 トクサ(12〜3本)、セローム(3枚)、アルストロメリア(2本)、オンシジューム(2本)。
  
水揚げ トクサ以外はすべて水切り。
  
花材費予算 1,200〜1,500円(1〜3月)

トクサは本来横枝を出しませんが、花材として出回るものには左図のように細い横枝が付いている場合があります。

横枝を使う場合は次の事に注意下さい。
1、枝と枝が引っ付かないで、一本一本、櫛を通したような綺麗な空間を創り出す事。
2、撓めはききにくいので徐々に丁寧に矯正します。矯正出来ない枝はすべてカットします。
3、10センチ以下の短い枝は切り捨てます。
4、本来、主枝を主体に節を引き立てて扱うのは云うまでもありませんが、補足として考えれば横枝にも趣があります。左図のように主枝の枝先を切り、細い線を引き立てる事も一つの方法です。
5、冬季は霜に焼けて先端部分が茶色くなっている事がありますが、見苦しいようであれば節近くで先端部分を切って下さい。

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