日本庭園で良く見かける「トクサ」の名は、そのざらついた繊維が金属や木材、時には歯磨きにも利用されていて、「研く草」(とくくさ)から「トクサ」になったと云われています。半日陰のやや湿度の高い地を好み、真直ぐに育ちます。
いけばなでは周年素材に扱われ、とくに、花材が不足する冬期によく使います。
葉はありません。茎は空洞で、竹に似た節があり、ざらついた質感とその緑の色を素材として取り入れます。
撓めはほとんどききません。直線素材ですが、しかし、よく見るとわずかに曲がっているものです。このわずかな曲がりをうまく利用して生花の「くの字」の形にいかします。枝先にツクシのような頭がありますが「胞子穂」です。これがある場合はなるべく天、天添など主要な箇所に配分し、表情を引き出します。また、ときとして細い横枝が付いた素材が花材として出回りますが、原則として「切り捨て」ます。しかし、高度な扱いではこれを補足と捉え、直枝に組み入れ、味を持たせるのです。
今回は洋花の明るい色彩をトクサ、セロームのグリーンの基調色に解け合わせ、華やぎの中にも格調高い味わいを見せる事がポイントです。作例は素材の都合で「逆勝手」にいけています。
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