華道専慶流WEBいけばな講座 第27回
(05.12.23訂正版)
千両をいける
西阪慶眞指導


千両は迎春を寿ぐ代表植物として古くから親しまれています。枝先に付ける赤い実がとても可愛いいのですが、千両の良さは「葉」にあるのです。瑞々しい鮮やかな緑葉が特徴で、赤い実は、この緑に支えられて輝いて見えるのです。素材選びは緑色の鮮やかなものを選び、色の濃いものや日焼けしたものは敬遠し、枝葉のしまったものを良品とします。

また、葉を中心に眺める植物ですから、なるべく葉のしまった、一枚一枚の葉が小さいものがいいのです。ややもすると実が沢山付いたものが良品のように見受けられますが、いけてみると如何に葉の色、大きさが重要かが理解出来るでしょう。

最近は栽培にも手間をかけ、一本一本丁寧に誘引し、日除け屋根の設備した畑で生産され品質は向上しています。しかし、反面、枝の面白さに欠けるのが難点です。横枝をうまく扱う事で回避したいものです。

なお、撓めは若干利きますが、しかし水揚げに影響するため過度な撓めは厳禁です。

「千両の生花」
千両一種の生花は珍しいのですが、瑞々しい清楚さ、上品さがただよってきます。天は70センチ強程度に求め、やや小振りで、引き締めた形にします。地は横枝を配し、葉の面が上に向くものを選びます。
撓めは若干使いますが、自然の形を利用するのが勢いに繋がるのです。いける前にそれぞれの曲がり、動きをよく観察し、その上での素材配分を。

今回の千両は和歌山・真妻の里で生産されている阪田さんから送って頂いたものです。サイトには生産過程も掲載されていますので参考にして下さい。
http://www.naxnet.or.jp/~sakata57/index.htm

専慶流-千両-1
●作例材料 千両4〜5本
●水揚げ 水切り。逆さ水を打つ。
●花材費予算 2,000〜3,500円(品質で大幅に異なります 12月〜1月)
素材の良否 葉が小さく、緑の色が鮮やかであること。

専慶流-千両-2
千両 専慶流
花材・千両、ミカン

庭に出来たミカンを合わせた作例です。このような場合、千両とミカン、どちらにウエイトを置くかが大切です。ここでは千両を主材に扱い、黄色実の千両も混ぜて華やぎをねらっています。
ミカンはとても重いので安定した壷がいいでしょう。

花材・千両一式

上記生花作品と比べて下さい、素材の違いがわかるでしょうか?。両作品とも和歌山の阪田農園からの素材ですが、こちらは一級品なのです。葉が細かく、横枝も密で、生け上がりのボリュームと力が感じられます。


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