曲線をいかした素材の扱い
松には、雌松、雄松があり、前者は葉が柔らかいのに対し、後者は堅く、悠々しさがあります。北海道を除く全国に分布し、岩肌に這いつくばってでも生育します。こうした過酷な環境に育ったものほど葉はしまり、幹にも味わいがでてきます。従って素材としては従来は海岸沿いや岩山、砂山に生えた自然ものが大半をしめていましたが、自然環境の破壊と松食い虫の猛威から激減、今では栽培種に代わっています。天然ものに比べ幹の曲がりや木肌の個性は当然見劣りしますので悠々とした姿や深い味わいを求めるような扱いは出来ず、松の緑そのものに焦点を絞った扱いが求められています。
ここに取り上げた松は瑞光松と云って砂山で栽培した、若木です。実生から4〜5年もので、途中で、人為的に幹を曲げてあるものです。その曲線をいかせて色彩豊かな現代生花にします。素材によって本逆に使い分けますが、作例は逆勝手です。