華道専慶流WEBいけばな講座 第33回
(06.12.1)
又木留の現代生花(10月〜12月実習
西阪慶眞指導


今回は又木留現代生花の実習です。
いけばな専慶流

作例のような背丈ある現代花器では底に小石を入れて剣山を持ち上げて使用します。しかし、使用する素材の茎が細いエニシダのような花材を正確に剣山に挿すのは難しく、このような場合は、剣山ではなく、又木いけが有利なのです。

一方、谷渡りや万年青のように、足茎のないものは剣山が挿しやすく、一般に又木で生ける事はありません。いけにくいだけでなく、通常のいけ順では又木におさまらないからです。

エニシダは又木留。谷渡りは剣山いけが有利という相反する性格。従ってこのような取り合わせは特殊と言えますが、今回はあえてこの難易度に挑戦した現代生花の実習です。

「又木を使った現代生花」

花  型 生花「行」
花  材 石化エニシダ(直管3〜4本、石化6〜7本)、クリスマスブッシュ2本、菊2本、谷渡り2枚。
水 揚 げ 特殊花材はありません。すべて水切りでOKです。
花材費予算 1,300円〜1,500円(11〜12月)
地の谷渡り、控のクリスマスブッシュからいける。
作品拡大図参照
ポイント
今回の実習では、いかに足元を奇麗にまとめるかです。又木留では、いける順序と配り配置を最初にしっかり設計しておかなければいけません。剣山いけでは天から挿していきますのでバランスはとりやすいのですが、又木留では控や地など、下の役枝からいけるので、全体配分を掴んだ上で、慎重に寸法割合を求めます。

叉木で生ける利点
足元が引き締まる 細い枝が留めやすい 軽快感が増す

いけ方 
地に使う谷渡りを又木の一番前に配し、他の素材は一切見えないように後ろから入れていきます。エニシダの細い線は交差しないよう、一本一本の線を奇麗に修正しておき、石化と混ぜていけます。線条美の楚々としたなかにも華やかさを求めた現代生花です。

花 器
花器は朱釉が印象的な創作手ひねり。又木留に向くよう円筒型に仕上げています。


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